歓迎されない理由 その④:損保との対応や書類書きが面倒で、イヤになる医師が多いから
- 2009.05.22
交通事故での受傷は、たいていの場合は加害者がいます。
そして、加害者には加害者が加入している自動車損害保険会社(損保)がついています。事故患者の治療費は多くの場合、通常の健康保険から支払われるのではなく、加害者側の損保が医療機関に支払うことになっています。
正確に言うと、患者さんは治療を受けた病院窓口での自己負担はなく、治療を行った医療機関が加害者側損保に任意一括請求して、損保側は請求に応じて翌月に医療機関に全額支払うことになります。
加害者側損保会社はできるだけ支払いたくないですから、何やかんやと理由をつけて治療を早く打ち切ろうとします。あるいは治療費を出し渋ることもあります。
損保会社は、しばしば担当医に「病状経過説明」や「治療が必要な理由の詳細な解説」を記載する厄介な書類を送りつけてきます。いつになったら治療が打ち切れるのかを何度も尋ねてきます。
損保会社の調査員が訪ねてきて面会を求められることも多く、これが非常に面倒です。
確かに漫然としたキリの無い治療に陥らないために、損保としても止むを得ないこととは思いますが、ただでさえ医師は診療で忙しいのに面会を求められ、30分以上も時間をとられて根掘り葉掘り尋ねられます。
診療内容を尋ねるだけなら医師としても協力しようかと思いますが、中には失礼な損保担当者もいて、医師の治療内容にあからさまに難癖をつけてくる場合もあります。さらに酷いのになると、主治医を医療費詐欺扱いするとんでもない調査員もいます。
損保側はひたすら支払いたくないのが本音ですから、患者さんだけではなく医者側にもプレッシャーをかけたり、面倒な書類を次々と要求することで、医師に診療を早く打ち切らせようと誘導してくるわけです。
こういう経験を何度すると、医師は、「事故関係の患者さんには関わりたくない」という気持ちが身についてしまいます。外来では冷たく対応して、患者さんに「好かれないように」しようとします。
「事故患者はできれば他の病院に行ってほしい」と思っているからです。院に行ってほしい」と思っているからです。