コロナ後遺症 治療症例 幹細胞液が著効
- 2023.04.26
漢方・Bスポット・高濃度ビタミンC いずれも無効だったコロナ後遺症の倦怠・頭痛・ブレインフォグが、幹細胞液点滴3回で著効した一例。
…賢人は、時間を無駄にすることに最も苛立つ。
ダンテ・アリギエーリ
(イタリアの詩人、作家。『神曲』の著者)
今回はクワンチ後遺症ではなく、コロナ感染後の後遺症の方の治療経過を共有します。
■コロナ後遺症 症例① 50代女性
【症状】
極度の疲労感。頭が重い。めまい。睡眠が浅く、頻繁に目覚める。
日中頭がボーッとして思考がまとまらず、仕事ができない。
【病歴】
コロナ感染し、隔離解除の2週後から全身の激しいダルサ、めまいが出現。
同時に、人の話や文章が理解できないことに気づいた。
『コロナ後遺症外来』を掲げている病院を探し、4件の病院を回り、漢方内服処方、B-spot療法、グルタチオン・高濃度ビタミンC点滴を受けたが、症状改善得られず。
発症から3か月目で当院を受診した。
【治療経過】
症状経過から、コロナ後遺症の関連症状と診断。
当院における治療経験から、多くのコロナ後遺症症例に効果がみられた『抗酸化系栄養素』の点滴から開始することとした。
注)
コロナウィルス感染症にかかると強い免疫反応の一環として発生した炎症性サイトカインは白血球から多量の活性酸素を発生させ、それが自律神経系にダメージを与えてしまうことで、様々な後遺症症状を発生させると考えられる。
自律神経系は様々な神経伝達物質(ニューロ・トランスミッター)のやり取りでコントロールされている繊細なシステムであり、炎症性サイトカインや活性酸素によって不調をきたし易いことが解っている。
感染炎症に伴う活性酸素の害が主体となっている症例では、活性酸素の害を除く抗酸化物質(還元系ミネラル、抗酸化物質グルタチオンなど)が著効することが多い。
点滴療法開始
■ 初回と2週目 :
抗酸化ミネラル+グルタチオン点滴(活性酸素および過酸化物質の中和目的)を行った。
[結果]
→2回とも、点滴翌日から倦怠感や眩暈が著明に改善したが、2-3日でぶり返し、効果長続きせず。
🔸ここで、病態診断と治療法修正のために暗視野顕微鏡(DFMS)による生体血液顕微鏡観察を行った。
暗視野顕微鏡についてはまた別の記事で詳細に解説する。
これは生きたままの血液を、染色や加熱をせずに、そのままの状態で観察できる特殊な顕微鏡であり、一般の研究所や大学病院などにも置かれていることは稀である。光学顕微鏡でありながら約1万倍の高倍率で対象をクッキリと見ることが可能である。
本例の患者さんの血液はこのようになっていた。↓
本画像のように、血漿部分(黒い背景領域)に針状のフィリット形成※が著明に認められた。
針状物質部分の高倍率画像 ↓
フィブリンは様々な免疫系の亢進で慢性炎症が存在すると活性化されやすい。
フィリットの大量形成は血液の流速を落とし、組織への酸素運搬を阻害することで、極度の倦怠感やブレインフォグを引き起こす可能性が高い。
また針状結晶が血管内壁を刺激するので、激しい頭痛や筋肉痛を引き起こす原因ともなり得る。
フィリット形成は、酸性体液(アシドーシス)や炎症状態などで発生する。
血液顕微鏡画像と病状経過を照合すると、免疫ネットワークのバランスが崩れ、炎症亢進状態が遷延し、自然回復できない状態となっていると考えられた。
還元酵素系(グルタチオン、抗酸化ミネラル、ビタミンC系)の点滴では十分な反応が得られなかったことから、既に活性酸素が大量発生している時期は過ぎ去っているが、現在まだコロナ感染に伴う炎症性サイトカインの余波が残り、免疫システムのバランスが崩れているものと推定された。
上記推論に基づき、炎症抑制系サイトカインを豊富に含み免疫システムに直接働きかける幹細胞上清液が期待できると推論した。
幹細胞液の中でも、免疫調整作用が高い [歯髄由来]幹細胞上清液の点滴に変更することとした。
幹細胞上清液点滴 開始
■3週目 幹細胞液点滴 1回目
[結果]
→点滴終了10分後の血液顕微鏡診断画像で、点滴前と比較し著しい変化を認めた。
点滴同日、帰宅後から怠さ半減し、5日間効果持続。6日目以降に効果は減弱したが、1週経っても点滴前よりはずっと体が軽く感じた。
■4週目 幹細胞液点滴 2回目
[結果]
→ 倦怠感は受診前の半分以下に軽快。家事も大体はこなせるようになった。
■5週目 幹細胞液点滴 3回目
[結果]
→ 点滴翌日は倦怠感ほとんど消失。2-3日でまた少し再燃するが、倦怠感は当初の3割以下にまで軽快。家事の他、元の仕事に復帰し、軽い運動も可能になった。頭痛・眩暈なども当初の1-2割程度にまで消失し、ほぼ発症前の生活に戻れた。
一旦通院は休み、経過観察をしていただくこととした。
【本人体感】
…ここでの点滴は、最初から確かに体が楽になる実感があった。
特に幹細胞液の点滴に変えてから大きな改善を体感した。
幹細胞液は、少し価格は高いけど私には効果も大きかったので受けてよかった。
とにかく元の生活に早く戻れたのでホっとした。
まだ回復したばかりでちょっと不安なので、栄養をきちんと摂り、運動も少しずつ増やして体力つけたい。
しばらく点滴は休んで様子を見てみたいが、この先、症状がぶり返すことがあれば、また点滴を受けて、完全に治したいと思う。
【解説】
コロナ後遺症あるいはワクチン後遺症の治療に、漢方薬の処方が盛んにおこなわれています。
しかし、ある程度重い後遺症に対しては、たとえ長期的に服用したとしても漢方薬の効果は乏しく、治療手段として漢方は不適切と思われます。
実際、当院の後遺症外来に来られた方のほとんどは漢方で効果がほとんどなかったそうです。
漢方で後遺症が治らない理由に関しては後の記事でまた詳しく解説します。
咽頭後壁を刺戟するB-spot 療法も、本質的な治療に繋がるとは考にくいです。
なぜなら、コロナあるいはワクチン後遺症は全身疾患であり、咽頭(喉奥)やその周辺の局所疾患ではないからです。
後遺症の正体は免疫システムの異常であり、病変の場所は血管内壁や全身の血液です。
後遺症の深い病態については、このブログの後の記事でまた深く掘り下げていきます。
さて、本例の治療経過を振り返ってみましょう。
抗酸化物質の点滴では効果乏しかったものの、幹細胞液の点滴に変えてから著効しました。
暗視野顕微鏡による生体血液観察では、血液中に凝固物質(フィリット)の過剰生成があり、幹細胞液の点滴後にそれが著しく減少し、血液画像上、病的状態の改善が認められた。
これらの事実から以下の病態が類推されます。
① コロナの急性感染が去った後も持続する慢性血液凝固系亢進が認められた。
② それが自力では修正できない状態となり、後遺症症状の原因となっていた。
③ 幹細胞上清液点滴が著効し、血液画像上にも大きな変化が認められた。
④ 幹細胞液の成分である複数の抗炎症性サイトカインが慢性炎症状態を抑制し、免疫バランスを取り戻すことができた。
⑤ 改善の後、点滴を止めたあとも症状安定している事実から、幹細胞上清液点滴療法が単なる対症療法ではなく、コロナ後遺症の本質的な治療である可能性がある。
【学び】
本例の患者さんは最初、漢方やB-spot などの治療を受けつつ、
「このままではとても治りそうにない。」
「効かない保険診療にこだわっていては全然ダメだ。」
「ちゃんと効く治療をやっている病院を探さなくては! 」
と気づいて当院に辿り着かれました。
そして当院で点滴治療を受けた結果、重く辛かった倦怠感などが治療開始後2か月にも満たずに軽快し元の生活に戻られました。
治療効果には個人差があり、治るまでにもっと時間のかかる方もいらっしゃいますが、きちんと当院に通院続けている患者さんは着実に改善を実感されています。
仕事や学業など、成すべき大事なことがたくさんある方にとっては、後遺症は早く治さないと日に日に損失が拡大していきます。仕事ができないことによる経済的ダメージはもちろん、時間を失うことがもったいないです。
特に若い時代の時間は大変貴重です。後遺症で長く動けないことでチャンスを逃すと、後で取返しがつかないこともあります。
効果ないのに治療費費用の安さだけで保険診療にしがみついていつまでも動けないままでいるよりも、根本的に治せる手段でサッと早く治した方が、結局は人生大きく得なのではないでしょうか?
この症例の後遺症患者さんは、早く治す方法を選択されました。
今、コロナ後遺症が数か月以上続いてお困りの方には、本例の治療経過はご参考になるかと思います。
なお、ワクチン後遺症も同様の治療を行いますが、コロナ感染単独の後遺症よりも解毒(デトックス)に時間がかかる傾向があります。
ワクチンはクスリであり「毒」です。ワクチン後遺症は薬害ですから、薬害は感染症よりも治りにくいのは仕方ありません。それでも先の記事のように、元気に回復された方は大勢います。治らないと諦めず、一度ご相談下さい。