吸い始めの理由 タバコは「かっこいい」?
- 2008.12.22
喫煙習慣は、初めに吸い始めるかどうかで決まります。
吸い始めたら大抵は脳がニコチン依存症になってしまうので、そのまま一生吸い続けてしまう人がほとんどだからです。喫煙率を下げて、社会医学的に国民の健康度を上げ、疾患を予防し、国民医療費を削減するには、新たに喫煙者の仲間になる人を水際で止めることが必要です。
わが国の状況はどうでしょうか? 最近になってようやく歩きタ条例が出きたり、「禁煙補助薬」が適応になり、タスポができるなど、ある程度の喫煙に制限が設けられるようになってきました。
けれども、「吸い始めさせない」ための対策はほとんどみられていません。
タバコは法的には、20歳以上になってから、と定められていますが、アンケート調査によると最初に吸い始めるのは、思春期・未成年が多いようです。喫煙者にインタビューでは、男性の吸い始め年齢が15.3歳、女性は16.5歳でした。
「なぜ吸い始めたのかと?」の質問では、「周りの人の多くが吸っていたので何となく」、という理由が最も多く、他には、「好奇心」や、「かっこいい」、「大人っぽい」、などの理由が続きます。
20歳を過ぎてから吸い始めた人も、結局は、大人になってタバコを吸っても良くなったんだから、「大人らしく」タバコを吸おうか、というような感覚でしょう。周りの大人が吸っているから「見習って」という人も多いようです。
また、喫煙者に対して、「タバコを吸い始めたきっかけとして、あなたが影響を受けた人・モノは何ですか?」の問いに、「友人」と答えた人がおよそ2人に1人で最多でした。次に親(16.1%)、恋人(7.9%)、同僚(6.4%)、テレビや映画などのメディア(5.8%)、と続きます。
今の我が国では、吸い始める前の若い世代の中に、まだタバコに対する悪いイメージが少なく、吸うことに対する抵抗感や恐ろしさが非常に希薄なのだと感じます。それは大人たちの認識の低さが元凶です。
「みんなが吸ってるから悪いはずがない」
「親もずっと吸ってるし、吸うなとも言われない」
「テレビや映画で俳優が吸ってるところがかっこいい」
「大人らしくてかっこいい」
など、タバコに対して肯定的イメージがあふれています。テレビCMや町のポスターでもかっこよく爽やかな画像で至る所で宣伝されています。
ではタバコを新規に吸い始めないためには、どうすればよいでしょうか?
「タバコを吸うな」、という禁止を強制するよりも、知名度のあるかっこいい大人が、かっこいい禁煙の手本を示すのが一番だと思います。
売れっ子で時代のイメージリーダーとなっているイケメン俳優や一流スポーツ選手とかが、映画やCMの中でさりげなく、「タバコはかっこ悪いよ」「賢い大人が吸うもんじゃない」などというセリフでイメージPRができれば効果があるのではないでしょうか?
タバコを吸わないことがクールでかっこいい現代人のライフスタイルで、
「タバコなんて時代遅れ」、
「タバコを吸ってると異性にもモテず、出世もできない」
という社会風潮ができれば喫煙者は減るでしょう。
思春期や二十歳前後の若い世代がタバコに抱いている「かっこいい」イメージを、「かっこ悪い」「嫌悪すべき」のイメージに塗り替えていくべきです。実際、格好悪いわけですから。
若い世代への禁煙教育は、「タバコが体に悪い」、という知識を頭で理解させようとするだけでは効果が少ないでしょう。説教じみた説得は反抗したくなることもあります。むしろ、画像や音楽も利用した、解りやすく感覚的な禁煙キャンペーンが必要ではないかと考えます。
……続く