プラセボ効果 続き。 人は騙されて効く?
- 2008.03.20
【3】プラセボ効果 続き。 人は騙されて効く?
プラセボ、は偽クスリのことでした。病気に効く薬を飲んでいる、という安心感は、少なからず症状を緩和することがしばしばみられます。
人は、精神の安定が症状の改善に密接に関係していることがわかってきました。
心と体を繋いでいる神経のインターフェイス機構が自律神経です。暗示的に潜在意識に作用したイメージは、意識しないうちに自律神経を介して体に作用します。暗示は良い作用も悪い作用ももたらす可 能性があります。
プラセボ効果の存在は、医療の現場では広く認識されています。
私も勤務医時代、病棟の入院患者さんを診ていて、不眠や痛み、不安発作などを頻繁に訴える方に、時にプラセボを処方したことがありました。プラセボを出した理由の一つは、痛み止めや睡眠剤をあまり頻回に飲むと副作用が心配であるからです。
このプラセボが非常によく効く場合があり、患者さんも、「あのクスリはとても良く効いた」と気に入ってくれて、その後も毎日のように要求されることがありました。
もちろん効かない人もいましたが、患者さんによっては本当の消炎鎮痛剤や睡眠薬よりも良く効いてしまうことがあったのが興味深く私の臨床体験として記憶にあります。
プラセボを患者さんにお出しすることについては、倫理的には患者さんご本人の承諾を得て与えるべきとされていますが、本人に「偽薬」であることを伝えてしまってはプラセボ効果が無くなってしまいますよね? ですから逆に、
「これはよく効く薬ですよ」
「前のクスリが効かなかった方にもこのクスリでしたら効くと思います」
などと言う言葉を添えてお渡しする方が良いと私は考えます。
これはあえて表現するなら、「嘘をついて」「騙して」いることにはなりますが、ある程度必要なことだと考えています。
その辺りはベテランの看護婦さんは、患者さんに優しく熱心に言葉をかけてあげていました。
人の優しさや心のぬくもりが心理的安心感をもたらし、プラセボ効果に上乗せされて効果を高めるのかもしれません。
ちなみに、今現在は私のクリニックでは偽薬(プラセボ)は一切お出ししてはおりません
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