女性と喫煙 その1
- 2009.01.04
タバコは男女の別なく吸うべきではありません。
まして、女性は特に、絶対に吸うべきではありません。
その理由の一つは、女性は男性に比べてタバコの害が強く現れるからです。そのことについて、詳しくみていきましょう。
女性のガンによる死亡率の推移を調べてみましょう。1970年頃は、胃ガンがトップ、続いて死亡率が高い順に子宮ガン、肝ガン、肺ガン、乳ガン、……となっていましたが、その後は大腸ガンと肺ガンがどんどん増えて、2000年には、胃ガンについで、大腸ガンが第2位、肺ガンが第3位、続いて肝ガン……となっています。
ちなみに、男性ではすでに肺ガンによる死亡率が胃ガンを抜いて、現在はガン死亡数の第1位になっています。肺ガンの原因として男女ともにタバコは大きな原因の一つであることがわかっています。肺ガンは、タバコを吸わない人にも起きます。肺ガンにはいくつかの細胞の種類がありますが、中でも「扁平上皮癌」と「小細胞癌」という種類はタバコとの関連が非常に強い肺ガンです。つまりこの2種類の肺ガンはタバコを吸うと非常にかかりやすくなるのです。
しかも、ここからが大事なところですが、女性のほうが男性に比べて、タバコによる肺ガンになりやすいのです。
1992年にアメリカで行われた大規模な疫学調査の結果、タバコを吸う人は、吸わない人に比べて、男性が9倍、女性が13倍も肺ガンにかかりやすいことが解りました。肺ガンの中でも小細胞ガンだけを調べると、男性喫煙者が11倍なのにに対して、女性はなんと38倍も肺ガンの危険度が高かったのです。
また、最近アメリカから報告された研究結果によると、女性喫煙者は、腹部大動脈瘤の発生危険度がタバコを吸わない人に比べて8.7倍高いということです。腹部大動脈瘤というのは、お腹の辺りの太い動脈がコブのようにふくらみ、次第に大きくなり、壁が薄くなってしまい、破裂して死亡する可能性のある危険な疾患です。男性に多いのですが、女性で発生すると小さな動脈瘤でも破裂しやすいという問題があります。
なぜ女性が肺ガンにかかりやすいのでしょう。完全には解明されていませんが、女性は男性よりも発ガン物質を始めとする化学物質への反応が強いことや、細胞のガン化につながる遺伝子変異を起こしやすいことなどがその原因として推定されています。
喫煙開始年齢が若いほど、肺ガンになる危険度も高くなることがわかっていますが、これは遺伝子変異が長く蓄積されているためと考えられます。
そのほか、タバコは他の全てのガンを助長する作用がありますから、女性のほうが男性よりもタバコによるガンの危険度は高まります。日本の女性喫煙率は平成18年の調査では10.0%。男性の約40%に比べて低いのですが、近年若い女性の喫煙率が高くなってきているのが非常に問題です。20歳代女性の喫煙率は昭和40年には6.6%、女性でタバコを吸うのはとても珍しかったのですが、その後徐々に増加しつづけ、平成18年には17.9%と、女性の5人に1人は喫煙者となってしまっています。
女性の権利が拡大するのは良いことですが、何も悪い習慣まで男の真似をする必要はないでしょう。
次回はまた別の観点から女性がタバコを吸ってはいけない理由を述べます。