足の巻き爪(陥入爪)非常に多くみられる厄介な病気

どういう病気か

足ゆびの巻き爪(Ingrown Toenail=陥入爪)とは、爪の幅が広過ぎるか、あるいは先が異常に丸く変形することで脇の皮膚組織にめり込んでしまう状態のことです。巻き爪の食い込みによる問題は、ほとんどが母趾(ぼし・足の親ゆび)に発生します。
初期は歩く時に少し痛いだけですが、やがて爪が皮膚に突き刺ささって穴が開くと、傷から皮膚の中に細菌が侵入します。細菌感染は急速に広がり、真っ赤に腫れてじっとしているだけでも大変な痛みを生じ、皮膚との境目から膿や出血、ジクジクする汁を排出するようになります。
さらに感染状態が続くと、膿んだ傷の底からモコモコと赤くヘンな肉が盛り上がって来きます。これがいわゆる「バカ肉」で、正しくは肉芽種 (にくげしゅ)と言います。肉芽種ができると自然にはなかなか治らず、手術を要します。

巻き爪は、小学生から高齢者まで広い年齢帯で発生し、高い発生頻度があります。軽症まで含めると何と全人口の約10%。つまり10人に1人が罹る割合と言われています。さらに巻き爪持ちの約10人に1人以上は強い痛みと出血・排膿を繰り返し、手術治療を受けるべき《進行例》と推定されます。

つまり人口の100人に1人は進行例の巻き爪を抱えつつ我慢して生活しているわけです。東京都(人口1,375万人)だけでも約14万人程度の方が酷い巻き爪持ちで苦しんでいる、という計算になります。
 もしかして今この文章を読んでいるあなたも、巻き爪でお悩みの一人ではありませんか?

原因

子供でも発生しますから、ハイヒールなどとの関連性はありません。
最も大きな原因は遺伝つまりDNAであり、さらに爪の誤った切り方が悪化させます。

良くない対処法

悪い爪の切り方

インターネットを中心として、誤った切り方が広く推奨されています。
誤った切り方とは「短く切らず長く伸ばせ」というものです。長く伸ばせば伸ばすほど皮膚に食い込んで悪化するのは当たり前なのに、なぜこんな非合理的な情報が拡散され続けているのか理解に苦しみます。

しかも驚くべきことに、医療ド素人ブロガーだけではなく、本物の医師までも! 「爪を長く伸ばし続ける」ことを勧めていますから、大いに問題があります。そういう医者にかかって治った巻き爪患者さんが居るのでしょうか?
嘘の「爪伸ばせ」情報に騙され、誤った方法で爪を切って悪化させてしまった方が当院には多数来院されています。

プレート法あるいはワイヤー法の問題点

最近では形状記憶合金のプレートやワイヤーを使用して矯正して治療する保存的方法が広く行われるようになっていますが、これで治る人はごくごく軽症の方だけです。プレート法あるいはワイヤー法は実際には以下に示すように非常に多くの問題を孕んでいます。

  • 改善までに時間がかかる
  • 何度も通う必要がかかる
  • 行く度に数千円かかり、トータルでは相当高額になる
  • しばしば突然外れてしまう
  • 外れた瞬間、反動で爪が突き刺さり激痛を生じる
  • いつまでも治らない人が多い

当院ではプレートあるいはワイヤーによる治療を何年も受け続け、全く改善されなかったばかりか、著しく悪化した患者さんが多数訪れています。全くお勧めできない方法です。

正しい切り方

爪の角がとがらないよう、丸くなだらかなカーブで短く切るようにします。やや深爪気味にすることがコツです。この時、爪の脇にトゲ状の切り残しを残さないよう、注意して下さい。

うまく切るためには普通の三日月型のつめ切りでは無理です。先の鋭いニッパー型の爪切りが必要です。感染と炎症を伴わず、まだ軽症の陥入爪の場合は、適切な爪切ニッパーを用いて正しく切るだけでも多くの場合改善します。

手術による治療☆再発少ない短時間の小手術があります

進んだ足ユビ陥入爪には手術治療が優れています。

治りにくい陥入爪では大抵、外から見える以上に爪の根本の幅が広く、皮膚の下に横に深く潜り込んでいます。しかも爪の縁(ふち)は刃物のように鋭く尖っています。
感染炎症を伴う進行期の巻き爪治療の原則は、爪の幅を十分に短く切り揃えて皮膚との接触をなくし、隙間を作ることです。皮膚の下に潜り込んだ爪は、痛すぎて自分で切ることはできません。
横深く食い込んだ爪を十分に切り揃えて隙間を作るには、医師による手術が必要です。
1か月以上痛みが続き、皮膚が赤く腫れている巻き爪の場合は早目に手術的治療を選択すべきです。

当院整形外科では、足の巻き爪に対し再発しにくい小手術を行っております。
方法は、局所麻酔の注射の後、広すぎる爪を適度な幅に切り揃え、感染組織があれば全て掻き出してキレイに消毒します。そして爪の根元の細胞を特殊な薬品で焼き、再び幅広く生えてこないように処置します。皮膚消毒・麻酔から手術終了まで30分以内で終了します。
手術直後に普通に歩いて帰ることができます。

その後はしばらく傷の消毒処置に通院していただきます。多くの場合、約1週後にはシャワーで濡らしても構わない状態になります。
どうしても手術は恐い、という感覚を持たれることが多いのですが、漫然と表面の処置だけで治らない状態をつづけると、感染が急に足の甲まで拡大したり、かばって傾いて歩いているうちに腰や膝にも痛みが出たり、と他の領域まで影響が広がります。また、感染による肉芽腫を長年放置しているとそこから皮膚がんが発生する危険もあります。

巻き爪(陥入爪)の手術治療は、術後すぐに痛みが軽減します。
手術後は爪が刺さっていた部分に一旦溝状の傷ができますが、傷が完全に新しい皮膚で埋まるまでに固まるまでの3週~6週程度かかります。

人によって異なりますが、大体爪の横幅が5mm程度狭くなるように切る感じです。手術によって爪が全く無くなったり、生えてこなくなったりすることはなく、適度な幅で残りますからご安心下さい。
この方法で治療すると、その後爪幅は広くならず、滅多に再発しません。

今まで色々な病院で何度も処置されつつも再発に苦しんで来られた方でもほとんどの場合手術が可能です。巻き爪の痛みでお悩みの方は、お早めの受診をお勧めいたします。

足ユビの陥入爪 手術料金

基本的には保険診療を行っておりますので、安心して治療を受けていただけます。
爪の状態、足ユビの感染・炎症の度合いなどによっては若干異なりますが、よくあるタイプの陥入爪を主病として初診でご来院の場合の例を示します。

手術日
(初診時に予約します。)
手術料金+処方箋料:約8,000円  
(1割負担の場合は約3,000円)
術後の創傷処置
(手術の後、通院していただきます。)
1回あたり:約400円(1割負担の場合は約130円)
※使用する薬剤などで、若干変動します。

健康保険で自己負担3割の方の場合、治療終了までの総治療費は、およそ15,000円 ~ 20,000円程度となります。ワイヤー施術など他の治療法より、結果的に割安で、しかも確実に治癒させることができます。

なお、術後から完全に傷が治癒するまで、1~2ヶ月を要します。
爪の脇の皮膚が強く化膿炎症している例、爪の食い込みが非常に深い例、糖尿病のある方、消毒通院頻度が少ない方は治療期間が長くかかる傾向があります。